忘却の勇者

「お前達の国だって魔王軍の被害がないわけじゃないだろ! 魔物を倒し、魔王を倒す強力をするのがお前達軍人の務めじゃないのか!」


「勘違いするな。私達軍人の務めは、あらゆる脅威から国民を守り抜くことだ。魔王も君達も、私達からしたらこの国の脅威でしかない」


「けどな!」


「君達の言い分もわかるが、これ以上抵抗するようなら私は君を撃たなければならない。それがどういう意味かわかるか?
私は“君達がネシオル王国のスパイ”だと認めざる得なくなる。仮に私が認めなくても、上層部の者達はそう判断するだろう。
たった一発の銃弾が、場合によっては休戦条約の破棄にも繋がりかねない事態になる。……ここまで言えばわかるかな?」


ネシオル王国の人間である自分達がここで問題を起こせば、国家間の大規模な問題に発展しかねない。


西の大国と東の大国。


この二カ国が再び戦争を始めれば、双方に甚大な被害が出るだけでなく、近隣諸国を巻き込む世界的な大戦になってしまうだろう。


人間社会は大混乱に陥るのは必須。


さらにそこに魔王軍が加わってしまったら……。
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