忘却の勇者
嗚呼、思い出しただけで腹ただしい。
ああ言えばこう言い、人の上げ足ばかりとりやがって。
ちょっとばかし偉いからっていい気になって、すっげぇムカつく!
しかも正論だけに反論できないからさらにムカつく!
イライライライラ。次第に歯ぎしりまで始めだした。
突然不機嫌になったコーズに、エクターは小首を傾げる。
なんだか関わったら面倒なことになりそうなので、話し相手をマリに変えた。
「今は魔王の影響で、この国も魔物の活動が活発化しててさ。ほとんどのメンバーが遠征に行っちゃって、帝都に残ってるのは三人だけなんだ」
「どこの国も今は魔物の被害が拡大してるからね。だけど小さい頃から訓練だなんて辛くなかった?」
「あーオレは違くて。オレ騎士っつっても二期生で、軍に入ってまだ一年も経ってないんだ。今は十三騎士の育成プログラムも確立されてるから、初期メンバーのような『手当たり次第なんでも訓練!』みたいな非効率的なプログラムは受けてないんだ」
ははっと笑みを溢しながら、横目でコーズをチラリ。