忘却の勇者
「だってコーズ『お前の用意した部屋なんか入れるか』って突っぱねてたじゃない。わざわざ客室を用意してくれるって言ってたのに、自業自得よ」
「はは……なにそれ……」
自分が隙間風通る極寒の牢獄を、ひもじい飯と薄い布切れで一晩過ごしている最中に、オレオとマリはいつの間にこいつと仲良くなってヌクヌクと快適牢獄ライフを満喫していたのか。
怒りの矛先がややオレオの方へと向きそうになったが、ふと思う。
もしかして俺、ケイって奴に陰湿なイジメにあってんじゃね?
そうだ。そうに決まっている。
そうじゃなきゃいくら断ったからといって(当時の記憶はないのだが)コーズ一人だけを除け者にするはずがない。
人種差別だ。捕虜保護法違反だ。コノヤロー。
「ところでなんで僕達を呼んだんですか?」
「おっと忘れるところだった。先日オレオ君から採取した血液検査の結果が出たんだ」
ここに来る途中、オレオは採血をされていた。