忘却の勇者
検査のためと言われていたが、一体なんの結果が出たのだろう?
引き出しから書類を取り出し、ページを一枚めくるとざっと目を通す。
「アモールにも勇者の血筋がいてね。すでに他界してしまったが、その者の血液サンプルは保存されていたんだ。それでオレオ君の血液とサンプルとでDNA検査をさせた」
「DNA? なんですかそれは?」
「ん? 嗚呼すまない。近年発見されたものだから知らなくて当然か。DNAはいわば生命の設計図。人体を構成するあらゆる情報が詰め込まれているんだ。
まあつまり、オレオ君の設計図とサンプルの設計図を見比べて、一致する箇所があればオレオ君は勇者の血筋であると科学的に立証されるというわけさ」
凄いだろ?
と、不敵に微笑む。
正直オレオには全くもって理解できない内容だった。
難しい話はチンプンカン。頭上にクエスチョンマークを浮かべて、首を傾げるしまつである。
三人の中で一番知的であるマリも、半分程度しか理解していない。
もちろんコーズは、はなっから聞く耳0なので問題外。