忘却の勇者

自分より小さい男の子に抱きかかえられてるなんて、なんか屈辱。


だけどこんな小さい身体のどこに、こんなパワーがあるのだろうか。


それに、速い。


景色はどんどん横に流れる。とてもじゃないが人の足の速さではない。


肉体強化の魔法? いや、オレオは魔具なしで魔法を唱えることは出来ないはず。


羞恥と疑問のダブルパンチで、マリの頭の中はショート寸前。


けれども強制的に現実へと戻されることになる。


オレオに抱きかかえられている格好ということは、後ろがバッチリ見えているというわけで。


三匹の血豹が血眼になって二人を追いかけている光景もバッチリ目視できた。


わー凄く怒ってる。


そりゃそっか。仲間を殺されたんだもんね。あははっ。


なんてトリップできたら幸せだろう。

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