忘却の勇者

マリもコーズも薄々そういうことなのだろうと感づいてこそいたが、逆らうことはできそうにない。


それにここで恩を着せておけば、のちのちこの国で動きやすいとマリは踏んでいた。


敵対国の人間がアモール国内で動くには色々と障害が多いだろう。


聖剣の在り処もキチンと把握したわけではない。


軍のトップと繋がりを持つことが出来れば、聖剣の情報などを横流してくれるやもしれん。


いずれにせよ、双方ともに何かしらの利益を得ることができる。


コーズは心配していたが、人質ということは悪いようにはされないだろうということで最終的に納得した。


実際コーズも、ミウのことがなければケイのことを信用していただろう。


どんだけロリコンなんだか。


「……なあ、人質が嫌だったらちゃんと言えよ。俺だって魔具ぐらい使えるし、お前だってオレオと一緒にいた方が安心だろ?」


机に突っ伏しながらコーズが尋ねる。
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