忘却の勇者
そんな淡い期待すら奪い去るくらい、血豹のプレッシャーは凄まじいものだった。
「血豹が三匹もいるなんて聞いてないわよー!」
「そうかな。想定の範囲内だとは思うけど」
「私はオレオと違って戦闘経験がないの!」
「それじゃあなんで付いてきたんですか?」
「こんなちっちゃい子を一人で行かせるなんて危ないじゃない!」
グサッ。
言葉の矢が、オレオのハートに突き刺さる。
オレオに「小さい」はNGワードだ。本人が物凄く気にしていることだから。
とはいえ落ち込んでいる暇はない。今は血豹をまくことが先決だ。
木々の間をすり抜け、人智を超越した走りを見せるが、背後にピッタリと血豹達は付いてくる。
どうやら一定の距離を保ちながら、二人を狩る隙を窺っているようだ。