忘却の勇者
救出作戦
洞窟までの移動は軍の輸送車を使うことになった。
馬と魔法が移動手段の主流となっているネシオル王国では、車を所有している者は数少ない。
無論二人も車に乗り込みのは初めてで、最初はテンションが上がっていたが、いざ乗り込みとそのテンションも徐々に下降していった。
一番の理由は、外の様子がわからないからだろう。
後ろの座席に乗り込んだが、窓には特殊なスモークが張られていて、外の様子を伺うことができない。
前の座席と後ろの座席の間にも黒い板のようなものが張られ、正面のフロントガラスからも外を除き見ることは叶わなかった。
狭い閉鎖空間に男三人。これでは牢獄と大差ない。
いや、まだ牢獄の広かった分、そちらの方がまだマシだろう。
右の座席にコーズ。左の座席にオレオと、見事窓際を確保したがなんの意味もなさなかった。
つまらん。物凄くつまらん。
オレオもコーズも、間に座るエクターに気付かれぬよう小さく肩を落とした。