忘却の勇者

まあねと意気揚々と答えるエクターに、コーズは苦笑するしかない。


でもこれ、俺達が付いて来た意味なくないか?


愚痴っても仕方がないので、かわりに溜息を一つ。


敵を倒したのだ。結果オーライというものだろう。


コーズはほとんど何もしていないが。


「そんでどうすんだこいつ?」


「色々とわけありなようだしな。オレオが来たら連行して、持ってる情報をゲロッてもらうのが一番だろ」


「まあそれが無難だろうな。拷問とかすんのか?」


「さあ? そこはオレの管轄じゃないし、ケイさんに聞かないと」


あれやこれやと今後の動きについて話を始めるコーズとエクター。


一人放置されたイクトはさぞかし怒り心頭だろうと思っているだろうが、彼は意外にも冷静で現状を把握しようと思案を巡らしている。


動かすことが出来る部分は、首より上と手首から先。


それ以外の箇所も極僅かだが動かすことは可能。

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