忘却の勇者

少年の手には、




母の腕だけが掴まれていた。




少年の叫び声が木霊する。


母の温もりは、母と己が流した血の温かさだった―――






―――少年は無事保護されたが、保護施設から逃亡。


一ヶ月もの間捜索が続けられたが、保護施設からほどなく近い川の下流で少年の衣服の一部が発見された。


その後、少年の姿を見たものは誰もいない。


誰も、いない―――



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