忘却の勇者
気味の悪い蛍光色の大蛇達。
オレオを丸呑みに出来るほどの巨体。
その大きな口を名一杯開くと、燃え盛る業火が形を成し、火球となって放たれる。
数十発の火球は一寸の狂いもなく、オレオに向かって迫り来る。
オレオは微動だにせず向かてくる火球を、生気のない瞳で見上げると。
オレオに当たる直前に、火球が音もなく姿を消した。
何事もなかったかのようにその場で黒刀を軽く振ると、衝撃波が発生し大蛇の身体は粉々に弾け飛ぶ。
剣圧だけで衝撃波を起こした?
余波を喰らい吹き飛ばされないよう踏ん張りながら、イクトはオレオの力に恐々する。
魔力を使わず衝撃波を発生させるなど、普通の人間では到底出来得ない芸当だ。
キレ味や使いやすさを除外し、強度のみを求めた黒刀と、完全に目覚めた勇者の力が合わさってこそ成し得た技。
無論、オレオの身体にもかなりの負荷がかかっているだろう。