忘却の勇者
マリは「大丈夫」と告げると、椅子から立ち上がり窓の外を見降ろした。
「かなり眠ってたみたい」
「色々ありましたからね。お疲れになるのも無理ありませんよ」
「そうね。今世紀一番のサプライズだったもの」
つい数時間前の出来事を思い出すと、自然と頬が緩んだ。
これで心おきなく旅を続けられる。
オレオ達と一緒に戦える……。
「ふふっ」
外の様子を眺めながらいきなり吹き出すマリに、女性は不思議そうに小首を傾げた。
「ごめんなさい。さっき見た夢を思い出しちゃって」
「夢ですか?」
「ええ。コーズがオレオとエクターさんにからかわれてる夢。あまりにリアルだったから、もしかしたら正夢かもしれないわね」