忘却の勇者
嗚咽が交じりながら発した言葉は弱弱しく、二の句を続けることは出来なかった。
―――なんでそんなに悲しい声を出すのよ。
貴方に落ち度はないんだから、もっと堂々としてればいいじゃない。
ヒステリックな女の自己満足だと割り切って、嘲笑えばいいじゃない。
なのになんで、今にも泣きそうな顔をしてるのよ―――
ケイを傷つければ傷つけるほど、心が痛み悲鳴を上げる。
最後にコーズの遺体を一瞥すると、
「遺体はこちらが責任を持って処置する。気持ちの整理が出来るまで部屋も自由に使ってくれて構わない」
そう言い残し、元来た道を引き返した。
「う……うぅぅぅぅぅぅ……!」
声にならない悲鳴が、ケイの背中を見送った―――