忘却の勇者
小さな明かりを見つめている内に、マリはあることに気が付いた。
オレオはコーズの死に際に立ち会っている。
コーズの死を、間近で見ている。
それはどんなに辛かったか。どんなに歯痒かったか。
目の前で命尽きていく姿を見せられて、どんなに悔しかっただろうか。
二人の付き合いはマリよりも長い。
本当の兄弟のように仲が良かった二人だ。きっとオレオが一番傷ついているだろう。
「最低だ私……自分のことばっかで、オレオの気持ちなんて考えてなかった……」
今誰よりも辛いのはオレオのはず。誰よりも助けが欲しいのはオレオのはず。
私がオレオを支えなくちゃ。
遺品に手を触れ決意する。
いつまで泣いてたって前へは進めない。私たちは前へ進まなくちゃいけないんだ。