忘却の勇者
なんじゃそりゃと口にして、オレオは静かに瞳を閉じる。
ありがとう、マリ。
心の中で呟いて、また静かに瞼を開けた。
もし自分がコーズの記憶を失っても、マリとコーズの間にある絆が失われることはない。
きっとマリが、オレオとコーズを繋げてくれる。
マリとの繋がりがある以上、コーズとも繋がっていられるはず。
だから今は、今日だけは。
「まったく、マリは泣き虫だなぁ」
故人を想いながら、二人きりの夜を過ごそう―――