忘却の勇者
オレオの船出を見送り基地に戻ってきたケイは、ユーウェインに呼ばれて彼女の部屋へ足を進める。
ドアを軽く二三回ノックすると、自動的にドアがスライドする。
目に飛び込んできたのは、薄暗い部屋に一際青い光を放つディスプレイの数々。
異色を放つ一室だが、当に見慣れたケイは意に介すそぶりも見せず、画面に囲まれながらゆったりとコーヒーを嗜むユーウェインに近づいた。
「彼らは、帰った?」
「嗚呼、無事出航した。それよりも話とはなんだ」
そう言うと、彼女は手元にあるキーボードを叩き、目の前のディスプレイにあるものを表示させた。
それはデータ化された文章だが、ランダムに並べられた英数字の羅列が目立つ一見ただの怪文書。
所謂、暗号文というものだ。
すぐに暗号文と気づいたケイは、その英数字の羅列を全体的に見渡した。
「ネシオル王国の暗号文か」