忘却の勇者
これは機密文書を第三者に見られないようにしたものではなく、この文書が“ネシオル王国の関係者が作成した文書”ということを示すためのものだと結論づけられる。
なぜわざわざそんなことを?
その理由は暗号文の内容によって明らかになるだろう。
「先日、送られてきた」
「送られてきた?」
てっきり彼女が極秘に入手したものだと思っていたケイは、疑問の声を上げた。
「どういうことだ?」
「見ればわかる」
そう言うとユーウェインは再びキーボードを打つ。
すると画面に映った暗号文が、解読後の正式な文章になって再度表示された。
その内容にケイは訝しげに表情を曇らせる。
眉間に皺を寄せるその姿は、驚きというよりも怪訝といった心境である。