忘却の勇者
監視者
「やっと着いたわ……」
ぜぇぜぇと肩で息を吐いて、マリは額にたまった汗を拭った。
長い長い螺旋階段を昇り切ったマリはその場にペタンと座り込む。
オレオは息一つ乱れた様子はなく、辺りの様子を伺った。
淀みが一点もない白い空間。
四隅の空間はただただ純白の世界で、オレオは小さく首を傾げた。
一体どこだここは?
話しは数十分前に遡る―――
ネシオル王国の岬に到着したオレオとマリ。
二人の姿にアモスとレインは驚きを隠せなかったが、コーズの姿がないことを知ると全てを察したのか何も言わず家の中に案内した。
オレオはアモール帝国での出来事を包み隠さずアモスに話した。