忘却の勇者
これまた純白の鱗に覆われた小さなドラゴン。
咄嗟に右手が腰の黒刀に移る。
刀を握る手が自然と強まる。
この空間を守るドラゴンだろうか。それとも魔王の手先だろうか。
ドラゴンは大きく口を開けると、オレオは素早く抜刀し、マリは魔具に魔力を込めた。
黒刀がドラゴンの身体を捉えた直後、
「くぁ……」
ドラゴンは可愛らしい欠伸をかました。
ギリギリで横凪に払った黒刀を止める。
ドラゴンは目をパチクリさせると、オレオの肩に止まり羽を休めた。
敵じゃない?
黒刀を鞘に戻して、ドラゴンの頭を撫でる。