忘却の勇者
大人しくオレオを受け入れるドラゴンに自然と笑みが零れるが、
『君が勇者の血を引く者か』
刹那、脳に直接声が響いた。
マリにも聞こえたのか、辺りをキョロキョロと伺っている。
「まさか……君が?」
肩に乗るドラゴンに声をかけると、ドラゴンは首を縦に振って「キュー」と鳴いた。
ドラゴンには不思議な力があると言われているが、脳に直接話しかけることも出来るようである。
『我は大賢者マーリンの使い魔。聖剣の守護者であり世界の監視を任されている』
聖剣の守護者と名乗る大賢者マーリンの使い魔。ドラゴン。
大賢者マーリンは、魔王を倒すために聖剣と禁書を作りだした張本人。
その使い魔が今、こうして目の前に存在している。
ということは……。