忘却の勇者
聖剣を軽く振り回す。
思ったよりも軽く、初めて手にしたにも関わらず扱いやすい。
まるでオレオのためにこしらえた特注品のようだ。
『そうか、貴様の伯父と同じことを言うのだな』
「伯父さんと?」
ドラゴンはオレオの肩から離れると、目線を合わせるように眼前に浮遊する。
『最後に世界の監視者として通告しておく。世界の闇は貴様たちが思うよりも邪悪で強大だ。時期に大量の人間が悲痛の叫びを上げることになるだろう』
「それって……」
脳裏に浮かんだのは最悪の情景。
魔王軍の本格的な進撃。人と魔物の全面戦争。
『貴様は先代の勇者に比べた非力だ。それでも闇に立ち向かえるか?』
「二度も言わせないでください。僕は魔王を討つ。それだけです」