忘却の勇者
「ではやるぞ」
アモスの言葉に三人は頷いた。
足元の魔法陣からは群青色の光が放たれる。
「道中気をつけて。良い知らせを待っているぞ」
任せて下さいと言わんばかりにオレオは親指を立てると、三人は光の中に消えた。
無事転送を確認すると、アモスは胸を押えた。
複数の、しかも二度の転送魔法に、さすがのアモスも疲労の色は隠せない。
乱れた息を整えるために深く深呼吸をすると、車椅子を180度回転させた。
「久しいな」
目線の先には若い男が立っていた。
黒いローブを身に纏い、フードを眼深く被った男。
足元には魔法陣の跡が薄らだが残っている。