忘却の勇者
戦う理由

マリとレインはオレオと引き離され、いつぞやの部屋に似た地下室に押し込まれた。


部屋の隅には監視カメラが設置され、行動は全て筒抜け。


壁は見たこともない素材で出来た分厚い物で、力のない二人では破ることは難しいだろう。


一見すればただの部屋だが、大層立派な牢獄といったところか。


入口も外から鍵がかけられ、見張りの兵士が立っている。


おまけに魔具は全て没収され、二人の右腕には鍵穴がついた特殊な腕輪がつけられた。


漆黒の分厚い腕輪は、魔吸石という特殊な魔法石で作られた魔術師用の手錠の一種。


魔吸石はネシオル王国の一部の鉱山でしか採掘されない希少な魔法石。


通常の魔法石は魔力に反応して、各々の属性に合わせた魔法を発動するが、魔吸石はその逆。


魔力に反応して強制的に魔力を吸収し尽くすのだ。


これを身につけられた魔術師は、体内の魔力を吸収され続けるため、装着している間は魔法を放つことができない。


ネシオル帝国の魔法技術に対抗するためには欠かせない鉱物といえる。
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