忘却の勇者
魔法が使えなければ、二人はただの女と子供。
厳重な警戒もあり、無理に逃げ出すことは不可能だ。
ソファに腰掛ける二人。
マリは深い溜息をつくと、レインに視線を合わせた。
「ケイが言っていたことは本当なの?」
ビクリと肩が揺れた。
その反応で、レインが事実を知っていることを確信する。
「私もオレオもアモス様のことは信じてるし、味方だと思ってる。だってそうじゃなきゃ、聖剣をオレオに渡さないもの」
だから教えて、真実を。
レインは膝の上で拳を堅く握ると、俯きながらポツリポツリと言葉を発っした。
「僕も全ては知らない。ただ、奴が言ったことは事実だ」
「十年前の魔王の復活……まさか四聖官が引き起こしたことだなんて……」