忘却の勇者
ケータイを耳から離してポケットに戻す。
「なにかあった?」
「鉄血の十三騎士に緊急徴集がかけられた。悪いけど、オレオに魔法をかけるから我慢してくれ」
言うが早いか、オレオの身体は固まってしまった。
先ほどより弱くかけてくれたのか、動きが制限されてこそいるが身体を動かそうとすればなんとか動かせる。
重みこそ感じないが、まるで鎧を着せられている感覚。
「すぐに戻る。大人しくしてくれよ」
ここで暴れたりしたら、魔法を弱くかけたエクターの責任問題になるだろう。
脱走は一先ずお預けだな。
オレオはわかったと一言呟き、ベッドに身体を預けた。
エクターは部屋を出ると、外で待機している兵士に見向きもせず早足で会議室へと走った。
十三騎士の緊急徴集は、今まで一度も発動されていない。