忘却の勇者

鉄血の十三騎士NO.Ⅰ。彼の本来の実力を見定めなければ、この戦いに勝ち目はない。


と、サイの脳裏にある仮説が立てられた。


それはありえないことなのだが、もしこの仮説が正しければアグロの謎が解明される。


謎が解ければ、この戦いの主導権を握ることができる。


一旦引いて、足元を踏む。


するとアグロの足元に魔法陣が浮かび上がった。


黒炎よりも濃い魔力を注いだ魔法陣。


橙色の光を放つ魔法陣を一瞥すると、アグロは二つの剣を合わせる。


一対の双剣は再び一本の大剣となると、地面目掛けて大きく振り下ろした。


環状に展開された魔法陣は大地と共に二つに裂かれ、その色を失っていく。


「退魔の波動……やはりな」


一度展開された魔法陣を打ち消すには、術者を倒すか魔法陣に魔法陣以上の魔力をぶつけるしかの二択しかない。
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