忘却の勇者

コーズである。一仕事終えたようだ。


すっかり気力を取り戻したオレオに安堵すると、隣の椅子に腰掛けた。


「ここの料理なかなか旨いだろ? 店はご覧の通り汚いけどな」


「汚くて悪かったな汚くて」


「ははっ! 褒めてんだよマスター」


主人と軽快に会話を始める。


オレオはワッフルを飲みこむと、コーズに向き直り深々と頭を下げた。


「助けてくれてありがとうございます。もしコーズさんが見つけてくれなかったら、きっと今頃魔物の餌になってました」


「いいっていいって、無事でなによりだ。それに敬語も止してくれ、なんかムズカユイからさ」


「あ、まじ? 実は敬語慣れてなくてしんどくてさぁ」


順応早ッ!?


思わずツッコミそうだったが、それは心の内に留めておいた。
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