忘却の勇者
無論アグロのそれは、完全な強がりなのだが。
「さすが……あんたは化物すら……超越した存在……いや」
首を横に振り、アグロは言う。
「神すら愚弄する……世界の理だ」
「最高の誉れだ。ならば貴行は世界に抗う神とでも言おう」
「そんな……大層なもんじゃねえ。俺達ちゃ……ただの騎士(人間)さ。だから……」
大剣を地面から引き抜き、切っ先を相手に構える。
身体が重い。
だがせめて一人だけでも。少しでも戦況を有利に進めるためにも。
「あんたを生かしちゃおけないんだよ!」
大地を蹴る。
特攻を仕掛けるが、それではサイの思うがままだ。