忘却の勇者
対峙する気配は徐々に強まり近づいてくる。
と同時に、背後からも強い気配。
「まさか……」
自分を中心に風を巻き起こすと、漂う不純物は一掃され視界が拓ける。
前からは大剣を振り上げるアグロ。
背後からは左手に短刀を握ったアレミラ。
思わぬ伏兵に驚きこそしたものの動揺はない。
残り少ない魔力を無駄には出来ない。
ここで結界を張ったとしても、退魔の波長を持つオレオの攻撃を防ぐことは出来ないだろう。
防御は無駄。ならば攻めに転じるしか他ない。
命を狙うは、最強の矛と最強の盾。
ならばここは―――