忘却の勇者
レインも首を傾げているので、彼もわからないのだろう。
勇者の鋭い感覚のみがキャッチした魔力。あの泉になにかあるに違いない。
潜って詮索しようとしたが、突然レインにコートの裾を掴まれた。
「ここは僕に任せてください!」
自信満々に告げると、レインは泉に視点を合わせた。
静かに揺れる水面を、レインは黙って見続ける。
見続ける。
ジーっとジーっと見続ける。
見つめて見つめて見つめ続ける。
……見続ける。
「レイン、一体なにを?」
「やっぱりおかしいです」