忘却の勇者
まだ十歳ほどの可愛らしい少女。寝息を立てて気持ちよさそうに眠っている。
コーズはベッドに腰掛けて、少女の頬を撫でた。
まるで割れ物を扱うような、繊細なタッチ。
少女に向けられた眼差しには、親愛の情が映っている。
だがコーズの家族は盗賊に殺されたとオレオは聞いていた。
オレオはそんな光景を黙って見つめ、一言呟いた。
「ロリコン」
間違えた、毒を吐いた。
どうやらコーズがこの女の子を誘拐したものだと思ったらしい。もちろん、ほんのちょっぴり思っただけだが。
……うん多分。ほんのちょっぴりだと、思う。
さてさて、ロリコン呼ばわりされて怒らない人などいないだろう。
コーズは顔だけオレオに向けて反撃する。