忘却の勇者
ペラペラとよく舌が回る。
悠然とした態度で語られた勝手な持論。
傲慢な内容は、オレオの怒りを逆なでさせるだけだ。
「黙れ! 意味のわからないことを喋り倒して、何様のつもりだ!」
「何様? そうか、まだ名乗っていなかったね。私は王宮護衛魔術師部隊隊長兼魔王軍対策室室長。聖者の称号を持つオメガという者だ。理解したかな?」
王宮護衛魔術師部隊。魔王軍対策室室長。そして聖者。
レインにとって聞きなれた単語の数々が、オメガという人物から飛び出した。
狼狽する。
仇がネシオル王国の重鎮であるということもそうだが、事実上軍のトップである男が魔王の城にいるということ事態に驚きを隠せない。
この下衆野郎が聖者? 賢者候補生の一人だと?
色々と疑惑の念が宿るが、レインの中である答えが導き出された。
「まさか……アモール帝国に情報をリークしたというのはお前か!?」