忘却の勇者
冷然と笑みを含むと、オメガは柔和な声色で答えた。
「さあな」
「……あんたさぁ、さっきからウザイんだよ!」
オメガの頭上に巨大な氷の塊が作られる。
「雹石!」
塊はオメガ目がけて落下したが、彼はなんなくかわすと、なにもない空間から白銀の剣を出現させて手に取り駆け出した。
早い。
一歩一歩の伸びが長く、レインの懐にすぐさま飛び込む。
反射的に氷刀を逆手に持つと、横凪のオメガの刀身を辛うじて受け止めた。
「やるじゃないか。お子様にしてはなかなか」
火花が走る。氷片が舞う。
オメガは剣を払うと、釣られて氷刀も弾かれた。