忘却の勇者

このままでは力負けし太刀を浴びる。


レインは太刀を受けながら、オメガの足元に視線をやった。


些細な動き。だがオメガは見逃さない。


足元から現れた鋭利な氷柱。


オメガは軽く跳躍すると空中で一回転し華麗に着地。


当てるつもりで放った魔法だがなんなく避わされ舌打ちするが、距離を空けることはできた。


相手がどのような能力を持っているか判らぬ以上、無暗に突っ込んでいくのは危険だ。


まして敵は賢者候補生の一人。体格もパワーも、恐らく魔術も相手が勝るこの状況では、接近戦は絶対に避けなければならない。


遠距離で様子見。これがもっとも最善な策と判断。


レインが新たな魔法を放とうとすると、オメガは剣を両手に構え勢いよく振り下ろした。


空気を裂き、衝撃波が生まれる。


飛ぶ斬撃。大地を裂きながら向かってくる攻撃は、誰が見てもとてつもない威力だと容易に想像できる。
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