忘却の勇者

壁を作っても無意味だ。


そう判断し今度は自分の足元に魔法を放つと、地面から氷の柱が飛び出しレインを上空に避難させた。


斬撃は柱を破壊。レインは上空で氷刀を振るうと、硬度があった氷刀がグニャリと鞭のようにしなりオメガへと襲いかかる。


上から襲う鋭利な切っ先。


とはいえ攻撃範囲が狭いそれでは避けてくれと言っているようなもの。


身体を少し逸らすと、しなやかな氷刀はオメガの足元に突き刺さり、床を抉っただけだった。


レインは地面に戻ると、新たな氷刀を作り出す。


遠距離攻撃はかわされる。ならば……!


地面を蹴ると、オメガの真下から鋭い氷柱が無数に生まれる。


足元からの奇襲ならばかわせまいと考えたレインだが、次の瞬間けたたましい轟音とともに氷柱が粉々に砕け散った。


無傷のオメガが口元に弧を描く。
< 451 / 581 >

この作品をシェア

pagetop