忘却の勇者
もちろん発狂することも何かに怒りをぶちまけることも出来やしない。怠惰という生き地獄だ。
そんな生き地獄の中、私の呪縛を解き放ったのが四聖官であるイアン賢者だった。
彼は知っていたのだ。私があらゆる封印術を解除する術を持っていることを。
そんなものは存在しないと思うだろう。だが残念ながら実在する。
歴代四聖官達が施した封印術すら、容易く解除する方法が。
アルベルトゥスという魔具職人を知っているか? 知らんだろうな。もう何百年前の人間だからな。
当時魔具職人として地位と名誉を獲得したアルベルトゥスだが、彼は死の間際にある魔具を作り上げた。
アルベルトゥスの最高傑作。究極魔法鍵(マスターキー)
それがこれだ。どうだ、独創的なフォルムだろう。
十三本しか存在しないマスターキーは、個々に独自の魔法陣が組み込まれ、強力な魔術を発動することが出来た。それこそ禁書に匹敵するほど価値ある代物だ。
だが、マスターキーの真の価値は強力な魔術の発動ではない。
それらはあくまで副産物。マスターキー製造の本来の目的は、その姿形の通り“解除”を目的としていた。
そう、マスターキーは封印術の解除を成すための道具。その効力は絶大にして最強。あらゆる封印術も例外なく、マスターキーの前では無力と化す。
イアン賢者は封印された禁書を手に入れるためマスターキーを探し求めていた。
だが残念ながら、時の流れの中で十三本あったマスターキーの所在は完全に不明となった。
ただでさえ異国の魔具。しかもその国が崩壊した今、マスターキーを手に入れるのはほぼ不可能であろう。
だから奴は、私を求めたのだ。
どこで私の情報を手に入れたのかはわからないが、私がマスターキーを手にしたまま長い間身を封じられていることを知ったのだ。
彼は私を助け出し、そしてマスターキーを使い禁書の封印を解くよう指示した。
キブアンドテイクというやつさ。私は晴れて自由の身になり、彼らは禁書を手に入れる。互いに利益がある協定だ。
私が人の下につくのは少々不満ではあったが、何分面白そうな匂いがしたのでな。奴らの協定に乗ってやった。
まさか魔王を復活させるとは思わなかったが。まこと酔狂な奴らだ。四聖官という老人共は。
そんな生き地獄の中、私の呪縛を解き放ったのが四聖官であるイアン賢者だった。
彼は知っていたのだ。私があらゆる封印術を解除する術を持っていることを。
そんなものは存在しないと思うだろう。だが残念ながら実在する。
歴代四聖官達が施した封印術すら、容易く解除する方法が。
アルベルトゥスという魔具職人を知っているか? 知らんだろうな。もう何百年前の人間だからな。
当時魔具職人として地位と名誉を獲得したアルベルトゥスだが、彼は死の間際にある魔具を作り上げた。
アルベルトゥスの最高傑作。究極魔法鍵(マスターキー)
それがこれだ。どうだ、独創的なフォルムだろう。
十三本しか存在しないマスターキーは、個々に独自の魔法陣が組み込まれ、強力な魔術を発動することが出来た。それこそ禁書に匹敵するほど価値ある代物だ。
だが、マスターキーの真の価値は強力な魔術の発動ではない。
それらはあくまで副産物。マスターキー製造の本来の目的は、その姿形の通り“解除”を目的としていた。
そう、マスターキーは封印術の解除を成すための道具。その効力は絶大にして最強。あらゆる封印術も例外なく、マスターキーの前では無力と化す。
イアン賢者は封印された禁書を手に入れるためマスターキーを探し求めていた。
だが残念ながら、時の流れの中で十三本あったマスターキーの所在は完全に不明となった。
ただでさえ異国の魔具。しかもその国が崩壊した今、マスターキーを手に入れるのはほぼ不可能であろう。
だから奴は、私を求めたのだ。
どこで私の情報を手に入れたのかはわからないが、私がマスターキーを手にしたまま長い間身を封じられていることを知ったのだ。
彼は私を助け出し、そしてマスターキーを使い禁書の封印を解くよう指示した。
キブアンドテイクというやつさ。私は晴れて自由の身になり、彼らは禁書を手に入れる。互いに利益がある協定だ。
私が人の下につくのは少々不満ではあったが、何分面白そうな匂いがしたのでな。奴らの協定に乗ってやった。
まさか魔王を復活させるとは思わなかったが。まこと酔狂な奴らだ。四聖官という老人共は。