忘却の勇者

左腕を投げ捨てると、左肩を押えながら床に伏しているレインに跨り、髪の毛を掴んで無理やりこちらに向けさせた。


瞳には生理的な涙が溜まっているが、キツク睨みを利かせている。


だが所詮は強がり。


腕を失い痛みで十分な魔力を練れないレインは、もはやただの幼い子供。


恐れる必要などない。もはや勝敗はきっした。


「坊やに屈辱を与えよう。最後に私からのプレゼントだ。受け取ってくれたまえ。
和の国ではその昔、戦に女を連れて行くのは不吉とされ、代わりに若い少年を慰め者として連れて行ったそうだ」


オメガは言う。


「坊やを私の慰め者にしてやろう」



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