忘却の勇者

これがエクターの言っていた魔封陣。


事前に魔封陣を仕込んでいたらしい。


これが展開された以上、魔法を放つことは叶わない。


「あまり驚いた様子じゃないな。じゃあわかるよな。この魔法陣がなにを意味しているのかを」


「ええ、もちろん。差し詰め無能な貴方に呆れ果てた魔王様が、新たな力を与えてくれたんでしょ。情けない男」


「どうとでも言うがいい。貴様には勇者のような腕力も、無駄死に男の俊敏さもない。魔術だけが取り柄の貴様は、もう手も足も出ないんだよ!」


悔しいが、イクトの言う通りだ。


マリにオレオのような力も、コーズの足と頭の回転の速さもない。


唯一誇れる魔術と魔具も、魔封陣が展開された以上使い物にならない。


魔封陣、一般的な魔法陣を解除する方法は二つ。


術者を倒すか、魔法陣に強力な魔力をぶつけて力を相殺させる。

< 466 / 581 >

この作品をシェア

pagetop