忘却の勇者

「ミウちゃんは精神支配の魔法にかかってる。しかも強力な」


「精神支配の魔法?」


聞きなれたい単語にコーズは眉を潜めた。


「うん。魔法に関しては専門分野じゃないけど、ミウちゃんの身体から禍々しい魔力が感知されたから間違いないと思う」


魔力探知。それは魔術に通じた者の中でも、さらに上位の者しか得ることが出来ぬ特殊な能力。


コーズは疑問の眼差しをオレオに向ける。


いきなり精神支配の魔法と言われて、納得できる人間などそうはいないだろう。


オレオもコーズの疑いに満ちた視線を感じ取ってはいたが、気にせず説明が続けられた。


「この魔法を使える人間は限られてるから、きっと夢魔(ムーマ)の仕業だろうね」


夢魔は強力な魔力を持った魔物。


精神支配の魔法を用いて人間の精神を奪い取り、生命力を食する危険な魔物だ。


術に嵌った人間は昏睡状態に陥り、最終的に夢の中で死んでいく。

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