忘却の勇者
魔物の気配が消える。
代わりに目の前に現れたのは、分厚い扉。
深い黒の扉には、地獄絵図を思わせる彫刻が掘られている。
人々を喰らう魔物の図。なるほど、魔王に相応しい扉だ。
オレオは取っ手に手を伸ばす。
が、触れようとした瞬間、見えない力によって右手が弾かれた。
やはり結界が貼ってあるか。
だが逆に考えれば、ここが大事な場所であることの証明でもある。
聖剣を床に突き刺し、腰の黒刀を抜刀する。
黒刀を構え、勢いよく切っ先を突き出す!
扉を破壊するつもりで全身全霊を持って放った一撃は、黒刀が宙に舞うことで勝負がついた。
オレオの一撃ですら壊せなかった。