忘却の勇者

妖艶に微笑み下唇を舐める。


オレオは黒刀を構えて戦闘態勢に入ると、二人に間にコーズが立ちふさがった。


ん? なんだ?


突然の出来事にオレオは戸惑う。


コーズはなにをするつもりなのだろうか。


「悪いなオレオ。ここから先は俺の問題だ。手を出さないでくれ」


背中越しに伝わるコーズの気迫。


腸が煮え繰り返っているのは分かるが、夢魔が妹の姿をしている以上分が悪い。


それにオレオはコーズの実力を知っていない。


義賊で幾つもの死線を乗り越えてきたとしても、人と魔物では力の差は歴然だ。


「頼む」


決意を持った強い言葉。

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