忘却の勇者

一旦身を潜めるのなら、これ以上最適な場所はない。


アモスとサイは裏で連携を取っていたのだ。


四聖官の動向を探り、状況が落ち着くまでオレオ達をアモール帝国に滞在させるつもりであったが……。


状況が、色々と変わってしまった。


「貴様の利用価値を考え多少のことは目を瞑ってきたが、手を噛まれたとなればもう生かしておく必要はない」


「生憎だが、私は飼い犬に成り下がった覚えはない」


指を鳴らす。


乾いた大気に音が響くと、突如イアンの頭上に光の球体が現れる。


「神の柱」


呪文名を口にすると、眩い光が一本の柱のようにイアン目掛けて降り注ぐ。


悪しき物を浄化する聖なる輝き。


術者と敵対する者を一瞬で蒸発させる高等魔法。
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