忘却の勇者
真意がどうであれ、今回の魔王軍の一連の動向は魔王が望んだ形でないことは明らかだ。
見た目は幼児だが、あれでも王。王としてのプライドもある。
快くは思っていないだろう。
このまま戦った所で、魔族の未来などない。
戦いを望まない気持ちもわからないではないが……。
「だったらなんだ?」
戦争は始まってしまった。
仮に四聖官を倒したところで、この大きな唸りは止まることはないだろう。
だとしても、オレオの使命は変わらない。
「僕にはなにが正義でなにが悪なのかはわからない。でも僕は勇者である前に人間だ。魔物に襲われている同族を見捨てる様なことは出来ない。
お前は被害者なのかも知れないけれど、お前が生きていることでこの世界の秩序が乱れるのなら、僕はお前を倒さなければならない」
「まさに勇者的な発想且つ発言だな。だがそれでいい。童も同意見だ」