忘却の勇者
イアンの瞳には、不敵な口元しか映っていない。
眼深く被ったフードのせいで、考えが読み取れない。
「なにを、企んでいる……」
「一先ず貴方達は魔王復活の罪を償ってもらう。勿論国民の手によって」
「馬鹿が! そんなことをしても……!」
「わかっている。私も罪に問われることなど百も承知だ」
何も知らなかった。でも済まされない。
サイが魔王復活計画に加担していなかったとしても、他者からすればそんなことは関係ない。
四聖官が計画したことならば、少なからずサイも加担していたはず。そう思われても否定は出来ない。
現にサイは計画について感づいていた。
気付いていながら、今まで行動に移すことは出来なかった。
加担したと思われても仕方がない。