忘却の勇者

切っ先を魔王に向け、狙いを定め……。


「いっけぇぇぇええええええ!」


聖剣を放った。


勇者の力で放たれた聖剣は、空気を裂いて一直線に魔王に向かう。


魔王は目を閉じる。


眼前に迫る聖剣に何を思うのか、口の両端を釣り上げるのだった―――










聖剣は地に落ち、カランと弱弱しい金属音を奏でる。


自重気味の笑みを浮かべる魔王。


オレオの瞳は元の黄金色に戻るが、それは絶望の色で染まっていた。


なんで……なんで聖剣がはじかれた……?
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