忘却の勇者
「言い忘れていたが、絶対守護領域は対象者の身体を覆うように展開する術式だ。お主が破壊したのは、それから放たれている魔力で作られた副産物。模造品と言った方が正しいかな」
模造品?
ただの模造品でさえ、手足を犠牲にしてやった破壊したというのに。
オリジナルの強度は、とてもじゃないが想像できない。
手足をやられ、最早立つことさえままならない。
そんなオレオを一瞥すると、魔王は聖剣に手を掛ける。
魔王が触れれば一瞬で浄化されてしまう聖剣だが、なんなくそれを手にするとマジマジと刀身を見つめている。
聖剣の力すら無効化する喪失魔術。
どう足掻いたところで、オレオがあの結界を破る手他などない。
一通り鑑賞すると、魔王は聖剣をオレオの元へ投げ捨てる。
床を滑りオレオの眼前にやってきた聖剣。