忘却の勇者
一瞬誰だかわからなかったが、すぐに記憶の底からある人物名が浮かびあがった。
オレオを助け、道標を導き出した人物。
そして、この戦乱の首謀者とされる人物。
「サイ賢者……?」
どうして彼がここに?
その疑問は自己解決することになる。
「……殺しにきたのか?」
魔王を陰で操っていたのは四聖官。
ならば自然と答えは導き出される。
全ての元凶が、トドメを刺しにきたのだ。
ただでさえ敵わぬ相手。手足は潰れ逃げることさえ絶望的なこの状況。
僕の命運もここまでか。