忘却の勇者
サイの横を通り、王座に腰かける魔王の元へ。
腹部からは気持ちの悪い血液が滝のように溢れていたが、今では出血が治まり落ち着いている。
流石不老不死。だがサイに敗れた結界は再展開出来ていないようだ。
「出来れば正々堂々と戦いたかった。けど僕は弱いから、こうでもして君を倒さないといけないから」
聖剣を首に宛がうと、接触面の皮膚が沸騰し焼けただれる。
聖剣の力は健在。後は首を刎ねればいい。
それで、人と魔族の争いに終止符が打たれることになる。
「元より死んだ身だ。今更死に際などに拘らぬ」
魔王は安堵の笑みを浮かべると、
「黄泉の国で待っているぞ」
そう言い残し、永久の命を絶ったのだった―――