忘却の勇者
それでもオレオは余裕の笑み。
血液を拭うこともなく、お返しと言わんばかりに黒刀を投げつけた。
猛スピードで放たれた飛刀に回避する術はなく、刀身は夢魔の喉元を突き刺し、あまりの衝撃に身体は吹き飛ぶと、夢魔の背後に生えていた木の幹に身体を貼り付けるかのように突き刺さった。
咳き込みと同時に鮮血の吐息が口から溢れる。
喉を潰され、声にならない悲鳴を上げた。
だが準備をすでに済んでいる。
夢魔は両手を合わせて魔力を練り込む。
オレオを落とせば後はゆっくり寝首を狩るだけ。
いや、それじゃあこの怒りと憎しみが晴れるわけがない。
ゆっくりじっくり魂を吸い上げて、死の悪夢を見続けさせてやる。
夢魔は術を発動させる。
「これ、で、終わ、り、だ……!」