忘却の勇者

そんなことよりまずは妹から離れろ。と言葉を出そうとしたが、咄嗟に飲み込んだ。


明日には出発するぞ?


コーズの言葉が頭の中でリフレイン。


まるで自分も付いて行くと言わんばかりの台詞に、オレオはほんの少し顔をしかめた。


「明日には出発するけど……てか、なんでコーズが決めるの?」


探りを入れた言葉。


コーズはあっけらかんと言い放つ。


「だって俺、お前に付いてくし」


当たり前と言わんばかりの清清しさ。


思いもよらぬ展開に、オレオはただただ茫然とした。


なぜ急にそういうことになるのだ。


自分に付いていくということは、最終的には魔王と戦うということ。

< 68 / 581 >

この作品をシェア

pagetop