忘却の勇者
そんなことよりまずは妹から離れろ。と言葉を出そうとしたが、咄嗟に飲み込んだ。
明日には出発するぞ?
コーズの言葉が頭の中でリフレイン。
まるで自分も付いて行くと言わんばかりの台詞に、オレオはほんの少し顔をしかめた。
「明日には出発するけど……てか、なんでコーズが決めるの?」
探りを入れた言葉。
コーズはあっけらかんと言い放つ。
「だって俺、お前に付いてくし」
当たり前と言わんばかりの清清しさ。
思いもよらぬ展開に、オレオはただただ茫然とした。
なぜ急にそういうことになるのだ。
自分に付いていくということは、最終的には魔王と戦うということ。